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2014.06.25

自己の住む雰囲気

彼の小説に於ける要求と同じく、詩をもったもの、ロマンス的効果に富んだものでなければならなかった。雰囲気描写の大家たる彼は、実生活に於て自分の行動する場面場面が、常に、彼の霊妙な描写の筆に値する程のものでなければ我慢がならなかったのである。傍人の眼に苦々しく映ったに違いない・彼の無用の気取(或いはダンディズム)の正体は、正しく此処にあった。何の為に酔狂にも驢馬なんか連れて、南仏蘭西の山の中をうろつかねばならぬか? 厭味な無頼漢、エディンバラ上流人士の爪弾き者だった。厳しい宗教的雰囲気の中に育てられた白面病弱の坊ちゃんが、急に、自らの純潔を恥じ、半夜、父の邸を抜け出して紅灯の巷をさまよい歩いた。ヴィヨンを気取り、カサノヴァを気取る此の軽薄児も、しかし、唯一筋の道を選んで、之に己の弱い身体と、短いであろう生命とを賭ける以外に、救いのないことを、良く知っていた。緑酒と脂粉の席の間からも、其の道が、常に耿々と、ヤコブの砂漠で夢見た光の梯子の様に高く星空迄届いているのを、彼は見た。 郵船日とてベルとロイドとが昨日から街へ行って了ったあと、イオプは脚が痛くなり、ファアウマ(巨漢の妻は再びケロリとして夫の許に戻って来た。)は肩に腫物が出来、ファニイは皮膚に黄斑が出来始めた。ファアウマのは丹毒の懼があるから素人療法では駄目らしい。夕食後騎馬で医者の所へ行く。朧月夜。無風。山の方で雷鳴。森の中を急ぐと、例の茸の蒼い灯が地上に点々と光る。医者の所で明日の来診を頼んだ後、九時迄ビールを飲み、独逸文学を談ず。新宿 高田馬場の加圧トレーニング

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